オハイオ州南部出身の元海兵隊員で、現在はイェール大学ロースクールの学生であるJ・D・ヴァンス (ガブリエル・バッソ) は、夢の実現を目前にして、心の奥に追いやった田舎の家族のもとに帰郷せざるを得なくなる。
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アパラチア山脈の町で彼を待ち受けているのは、薬物依存症に苦しむ母親ベヴ (エイミー・アダムス) との確執をはじめとする複雑な家族模様。
彼を育ててくれた、快活で頭の切れる祖母マモーウ (グレン・クローズ) との思い出に支えられ、ヴァンスは己の人生を歩んでいくために、消すことのできない家族の歴史を次第に受け入れ始める…。
Hillbilly Elegy
2020年11月24日公開
監督:Ron Howard
出演:Amy Adams, Glenn Close, Gabriel Basso
この作品は、第二次トランプ政権において副大統領を務めるJ・D・ヴァンスさんの本が映画化されたものです。
彼はオハイオ州ミッドタウン出身で、高校卒業後アメリカ海兵隊に入隊。
その後オハイオ州立大学を卒業し、イェール大学ロースクールで学位を取得します。
そしてサンフランシスコのITベンチャーキャピタルの社長をしていました。
一見、彼は順調に事を進めてきた成功者のように見えますが、今までの彼の人生はとても過酷なものだったのです。
hillbillyとは「〈侮蔑的〉〔アメリカ南部の〕山地住民(の)、田舎者(の)」という意味で、特にアパラチア山脈周辺に住む、スコットアイルランド系アメリカ人を指すようです。
そしてelegyとは悲歌、哀歌のこと。
原作の英題は「Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis」となっていることから、『危機に瀕した文化と家族の記憶。ヒルビリーの哀歌』とでも訳すことができるでしょうか。
ここからネタバレ感想!
私はこの本をずっと読みたいと思っていたのですが、Netflixでこの映画を見つけたので先に映画を見ました。
まだ原作の本は読んでいません。
なんとなくこの映画を見る前は、白人の労働者階級って貧乏で閉鎖的な街で悲観的に暮らしているんだろうなぁくらいに思っていたんです。
そこでこの映画を鑑賞。
初めに思ったのは、「いや、これ労働者階級の話っていうより、お前の母ちゃんサイテーって話でしょ?」
運が悪かったね、お母さんが薬物中毒になっちゃって。と思ってしまったんですが、実はそれこそが白人労働者階級の抱える闇だったんだと後で気づきます。
このニュース記事がとても参考になりました!
作中では、JDヴァンスのおばあちゃんも13歳で妊娠してケンタッキーを離れ駆け落ちし、夫はアルコール中毒で暴力的で別居中。
お母さんは18歳で妊娠して、看護師として働くも薬物中毒で失職。
お母さんは彼氏を作っては別れ、再婚した相手は地下室で大麻を栽培。
その息子もすこぶる悪いやつで、悪い友達とつるむJDヴァンス少年。
結局ヒルビリーにはアルコール依存、薬物依存、暴力、窃盗、などが蔓延しているのです。
お母さんがヘロインを大量に摂取してしまい病院に運ばれたものの、病院には長く居られなくて別の施設を探すシーン。
薬物中毒者の保護施設を何箇所も当たるも、どこも満室で予約待ちなのを見て、いや、そんなに薬物中毒いるのかよ!どういうこと?と思ったんです。
でもそれがヒルビリーの現実なんだろうなと理解しました。
もう一つ勉強になったこと。
エリートたちとの食事会で「レッドネック」という単語をだし意地悪なことを言ってきたある男性に、JDヴァンスはキレてしまいます。
先ほどのニュース記事にもあるように、「ヒルビリー(田舎者)、レッドネック(無学の白人労働者)、ホワイトトラッシュ(白いゴミ)」などは、そういった白人労働者を侮辱する言葉。
レッドネックとは私が考えるに、屋外の労働で首だけ日焼けして、(白人なので)真っ赤になっている様ではないかと思われます。
そう言った言葉が存在し、またそれを使うエリートたちがいるんだということにショックを受けました。
日本で言ったらどんな言葉だろうか?と考えたんですが、田舎者くらいしか思いつきませんでした。
そして最後に、印象に残ったシーン。
JDヴァンス少年がおばあちゃんと一緒にテレビで映画ターミネーターを見ているシーン。
おばあちゃんは人間には3種類いると言います。良いターミネーターと悪いターミネーター、そして中立的なターミネーター。
そしてテレビの中のセリフと一緒に「Hasta la vista, baby」と言い、銃を撃つ真似をします。
「何回観たの?」と聞くJDヴァンス少年に「100回は観たね。」と答える彼女。
そのシーンがとても穏やかで幸せそうだったのが心に残りました。
きっと彼女はいつもテレビを見ていて、テレビではいつもターミネーターが放送されている。
繰り返す毎日。繰り返す人生。
白人労働者階級の人生がこの映画で少しわかった気がしました。
原作の本も読もうと思います!


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