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【読書メモ】首飾り (著:モーパッサン)

物語・小説

ついにモーパッサンを読み始めます。

厳密にいうと、3年ほど前にモーパッサンのベラミをフランス語の原文で挑戦したのですが、冒頭で挫折したままでした笑。

ということで今回は堅実に日本語訳で攻めていきたいと思っています。


青空文庫 – 首飾り
青空文庫は著作権の切れた文芸作品を無料で提供している電子図書館です。

【あらすじ】
ある一人の美しい女性が主人公。
彼女は自分でも自分が美しいと思っているが、貧しい生まれでお金持ちとは結婚できない。
官庁の小役人と結婚したものの貧乏な暮らしに不満を持ち、”自分の美しさにふさわしい、あるべき姿”の夢にいつも耽っていた。
ある時、夫の上司のパーティーに招待され、いいドレスを買って、友達にダイヤの首飾りを貸してもらい…

以下、ネタバレありです。


私のビビビっときた所は以下の3点。


まず一つ目は、純粋に彼女がかわいそうだなと感じました。

調べてみると、この短編が発表された1880年代のフランスは自由恋愛はまだ主流ではなく、資産や名誉が重んじられ親が結婚を取り仕切っていたそう。

女性の持参金が結婚の条件になることが多く、それにほぼ運命がかかっていたとも言えます。

冒頭の部分で、主人公の女性は美しいけど貧しい家庭に生まれたため持参金もなく、上流の紳士との結婚は望めなかったと書いてあります。

それで結局、無難な小役人と結婚したんですね。

しかし、自分でも自分が美しいと自認していて、本当はもっと上へいけるはず!と思っている彼女にとって、セルフイメージと乖離した現状はさぞかし苦しかったろうと想像します。

現代だったら、アイドルになるんだ!と思ったら自分でアクションくらいはできますよね!

地下アイドルだって、コンカフェだって、自分で選択できる。

この物語の主人公くらい自己愛があって強い信念があったら現代であれば成功しそうな人材です笑


二つ目。「官庁の小役人」という、ややしょぼい職業の主人公の旦那さん。

でも彼女は夫の愚痴は全く言っていないんです。ただ貧乏なのが嫌みたい。

なるほど物語の中での彼女の夫はどちらかというと、すごく優しくて良い人!

彼女がパーティーに来て行く服がない!と泣けば、自分がこっそり貯めていたお金を不満も漏らさず渡してくれるし、そもそもパーティーの招待状だって彼女のために頑張ってもらってきたと言っています。

首飾りを無くして借金をこさえた時だって全く怒ったりしていません。

もし主人公が自分の立場をわきまえて、貧乏でもしょうがないと今ある現実に向き合っていたら。

豪華ではないけど優しい旦那さんと幸せになれていたんじゃなかろうか。

現実を見ずに夢ばっかり見ていたことで、現実にあった小さな幸せさえも手に入らなかったのでは?と思ってしまいます。


三つ目。すごく意地悪なこと言うと、彼女は決して育ちが良いわけではないために、偽物のダイヤだということがわからなかったのでは?

首飾りを貸してくれるという友達に「他にはないの?」なんてしつこく聞いてやっと出てきたダイヤの首飾り。

このシチュエーションだといいやつを隠してたんだ!と思えるけど、友達からしたら、これ偽物のダイヤだし出しづらいわってことだったんだと想像できます。

だから主人公がこれ貸して!とドキドキしながら聞いた時も、主人公の意に反して二つ返事でいいよ!と言ったわけです。

そんな風にみると、主人公が滑稽で面白い。

見た目では偽のダイヤだとわからなかったとしても、主人公の側から見たのと、友達側から見た、首飾りを貸すシーンのやり取りが面白いです。


そして最後のオチも面白かったです。友達に素直に「無くしました!ごめんなさい!」と言っていればよかったね!チャンチャン。

ということで、記念すべきモーパッサン・デビューでした。この後は短編『脂肪の塊』を読む予定です!

一言まとめ
「フランス文学、モーパッサンを読み始めました!」

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